Dreamcastソフトウェア作成基準
               

Dreamcastソフトウェア作成基準/Ver.1.00J


15.バックアップ

VM(ビジュアルメモリ)にロードし実行するVM専用ゲームのことを実行ファイルと呼称します。サターンの時はバックアップの内容をデータと読んでいましたが、呼称統一するためにファイル(セーブファイル)と呼称します。ゲーム中に表示する場合も変更となるので注意してください。

 

15.1 セーブファイル

注意:Dreamcastアプリケーションのセーブファイルは、必ず登録を行ってください。(開発企画部・ソフト推進部あて専用書類にて提出)

 

15.1.1 セーブファイルのファイル名

□必須:ファイル名には、1バイト文字の数字・英大文字・アンダースコア・ピリオドのみ使用可能。スペース不可(表:の網掛け部分

□必須:12文字全てを使用する。

□必須:ひとつのゲームで複数のファイルをセーブする場合は、頭の9文字を統一し、後ろ3文字を変更する。

ブートロムのファイルメニューにおいて、同一ゲームであるかどうかの判断を頭の9文字で行っています。従って頭の9文字が統一されない場合、同じゲームとして認識されずまとめてコピーするなどの機能が正常に働きません。 

◇推奨:何個所かにわけてセーブ可能な場合、ファイル名の後半三文字を順の数字で区別し、それ以外のファイル(キーコンフィグのデータとかゲームの追加オプションなど)は、別途適宜アルファベットを使用してください。

注意:バックアップライブラリでは、ファイル名の大文字と小文字を区別します。英小文字は使えないのでご注意ください。

 

■ 標準:

ゲームオプションファイル  DRAGOON3.SYS

通常のゲームセーブファイル DRAGOON3.001

              DRAGOON3.002

              DRAGOON3.003

 

◇推奨:ファイル名はそのゲームであることが分かり易いものとし、不必要に分割しないでください。

注:以前存在したファイルの最大数による制限はありません。

 

15.1.2 VMSコメント

15.1.3で記述するブートロムコメントがブートロムのファイル管理メニューにて表示されるので必要ないように考えられますが、VMでのファイルモードでは、ファイル名及びVMSコメントしか表示されないので、VMSコメントにも、そのファイルの内容を記入してください。

 

□必須:VMSコメントは、最大16文字で、1バイト文字(7E除く)以外は使用不可。(20から7DとA0からDFまでの文字が使用可能、7Eの「~」はVMSにフォントがないため表示されないので使用しないでください。)

 

表:ファイル名ならびにVMSコメントに使用可能な文字

 

◇推奨:VMSコメントにゲームセーブ時の状況またはゲーム名を記入してください。

 

■ 標準:

5メンボス    (ゲームの面数表示)

ゾアノマチ    (セーブした街の名前)

タイムアタック  (ゲームのモード名)

ソナチネ     (ゲームのプレイヤー名) 等

 

15.1.3 ブートロムコメント

□必須:ブートロムコメントは、最大16文字(2バイト文字)で、英数・かな・カナ・第二水準までの漢字以外は使用不可。(表示は2バイト文字の場合、ブートロムにて24×24ドットで表示。1バイト文字の場合、24ドット×12ドットも使用可能、その場合32文字まで使用可能。混在の場合は、合計32バイト以内にて)

 

□必須:ブートロムコメントにゲームタイトル名(長さ等の関係で記入しきれない場合それに準ずるものもしくは省略形を使用する)が記入されている。

 

15.1.4 セーブファイルのアイコン

□必須:アプリケーション専用のアイコンを用意してください。

専用アイコンデータを用意することで、ブートロムのファイル管理メニューにて、どのアプリケーションのセーブファイルか識別可能になります。

 

15.1.5 ビジュアルコメント

◇推奨:ビジュアルコメントを用意する場合、23.倫理規定に従い、ビジュアルコメントに倫理上不適当なビジュアルを表示しないでください。

 

◇推奨:ビジュアルコメントを用意する場合、16色または256色のモードにしてください。(32000色のモードを使わないでください)

32000色のモードの場合、ビジュアルコメントで16ブロックが必要となり、その分、セーブ・ロードに時間がかかります。画像サイズが小さいこともあり、32000色のモードにすることでの差異があまりないのであれば、ユーザーに負担(セーブ時間)をかけないようにしてください。

注:32000色の場合約16ブロック、256色の場合約9ブロック、16色の場合約5ブロックかかります。実際にビジュアルコメントを用意するかどうかはアプリケーション側におまかせします。

  

15.1.6 ファイルサイズ

□推奨:ファイルサイズ(セーブする際のブロック数)は、あらかじめソフト内で使用する最大サイズ(最大ブロック数)を確保してください。

 

ステージ1までのデータが2ブロックで、最終ステージでは6ブロックといった、可変長になることが考えられるセーブファイルの場合、あらかじめ、最大サイズである6ブロックのファイルを作成し、途中での上書き時に、空き容量(空きブロック)の不足をおこさないようにしてください。

注:非常に特殊なケースとして「デザエモン」のように途中経過をセーブ可能であればセーブする(しかもサイズ変化が極端である)といったアプリケーションの場合は、あらかじめ必ずセガ担当者までご連絡ください。

 

15.1.7 VMSボリュームアイコン

□推奨:VMSボリュームアイコン (ICONDATA_VMSというファイル名でセーブする)をアプリケーションでセーブする場合(その機能がアプリケーションに存在する場合)、すでにビジュアルメモリ中に、VMSボリュームアイコンがあるかどうかを判別し、すでにあった場合は、

・画面上に元のアイコンを表示し
・「このアイコンがメモリーカードには入っています。上書きしますか?」
と確認できるようにしてください。

 

15.1.8 その他のセーブされるデータについて

●CDラベルデータ(GD領域のルートディレクトリに0GDTEX.PVRを置いておく)

●ビジュアルメモリの画面表示用カラーデータ(そのビジュアルメモリが何色をしているかという情報を格納できます。)

上記2ファイルについては、特に必須または推奨規定はありません。

 

15.2 メモリーカード(ビジュアルメモリ)選択

以下のA〜Cのタイプのアプリケーションのいずれにあてはまるかチェックをしてください。

□A:セーブ(ロード)時のメモリーカード選択の画面をアプリケーション内に持ち、複数のメモリーカードに対応している。(15.2.1へ)

□B:(風らいのシレン・WIZARDRY等の)オートセーブを行うアプリケーションで、いったんメモリーカードを選択後は、(そのセーブゲーム中ずっと)単一のメモリーカードを使用する。 (15.2.2へ)

□C:HI SCOREやキーコンフィグ等のセーブデータのため、単一のメモリーカードしか使用しない。またはメモリーカード選択画面を持たない。(15.2.3へ)

 

15.2.1 セーブ(ロード)時のメモリーカード選択の画面をアプリケーション内に持ち、複数のメモリーカードに対応している場合(図2)

この場合、セーブ毎に、ユーザーはメモリカードを選択する形になります。

□必須:使用可能なポートにささっている全てのメモリーカードが選択可能になっている。

 

□必須:メモリーカードの選択をユーザーに行わせる際、どのポートに挿さっている、どの拡張ソケットの(=ポートAの拡張ソケット2等)メモリーカードをユーザーがアクセスするのか明示するようなっている。

 

□ 必須:実際のセーブ中を除きメモリーカードのホットスワップ(電源ONの状態での抜き差し)に対応している。

 

◇推奨:メモリーカードは、使用(対応)しているポート(コントローラ)、使用(対応)していないポート(コントローラ)のいずれの拡張ソケットに挿してあるかにかかわらず選択可能にしてください。

 

特に今後予定されているコントローラのうち、キーボードには拡張ソケットがありません。従って、キーボードを使用した場合、別のポート、コントローラに挿してあるメモリーカードへのセーブが必要になります。その際、使用(対応)していないコントローラが挿してあってもセーブ可能なようにしてください。

 

15.2.2 (風らいのシレン・WIZARDRY等の)オートセーブを行うアプリケーションで、いったんメモリーカード選択後は、(そのゲーム中ずっと)単一のメモリーカードを使用する場合(図3)

この場合、ゲーム開始時にセーブファイルを作成するメモリーカードを選択し、以降ゲーム中ずっと、そのセーブファイルを上書きする形になります。

□必須:使用可能なポートにささっている全てのメモリーカードが選択可能になっている。

 

□必須:メモリーカードの選択をユーザーに行わせる際、どのポートに挿さっている、どの拡張ソケットの(=ポートAの拡張ソケット2等)メモリーカードをユーザーがアクセスするのか明示するようになっている。

 

◇推奨:メモリーカードは、使用(対応)しているポート(コントローラ)、使用(対応)していないポート(コントローラ)のいずれの拡張ソケットに挿してあるかにかかわらず選択可能にしてください。

 

□必須:メモリーカードがゲーム中に抜かれた場合、「ポーズ」をかけ、メモリーカードをもとにもどすように警告するメッセージを表示する。また抜かれた時と同じセーブファイル(=タイムスタンプやチェックサムが同じ物)を持つメモリーカードが挿し直された場合、ゲームが再開可能となっている。

 

15.2.3 HI SCOREやキーコンフィグ等のセーブデータのため、単一のメモリーカードしか使用しない。またはゲームの性格上メモリーカード選択画面を持たない場合

この場合、キーコンフィグのデータまたは、HI SCOREのデータ等に変化があった場合、アプリケーション側で勝手にメモリーカードに書き込む形となります。

 

◇推奨:セーブファイルを作成するメモリーカードのポート(コントローラ)と拡張ソケットを、固定していない。

ポートAに挿したコントローラの拡張ソケット1に挿したメモリーカードにしかセーブされないような仕様は今回はお勧めしません。

 

◇推奨:複数のメモリーカードが複数のコントローラまたは拡張ソケットに挿してあって、ポートと拡張ソケットを固定していない場合(=上記推奨)、現在ゲームに使用しているポート(コントローラ)に挿さっているメモリーカードを優先して使用してください。またふたつのメモリーカードが同じポート(コントローラ)に挿してあった場合、拡張ソケット1を優先してください。

 

15.3 メモリーカード(ビジュアルメモリ)の初期化

◇推奨:メモリーカードの初期化については、アプリケーション側では用意しないでください。

今回、ビジュアルメモリは全て初期化済みの状態で出荷されます。初期化が必要な場合、ブートロムのファイル管理メニューで行わせてください。

 

15.4 セーブの実行

◇推奨:オートセーブの場合を除きセーブ実行中に、TV画面上に警告として「セーブ実行中です。電源を切らないでください。」等と表示してください。

セーブ中に電源OFFやリセットを行うとデータが壊れることが予想されるので、警告を表示するようにしてください。

 

□必須:セーブ実行中はソフトリセットが効かないようになっている。

 

□必須:正しくセーブが実行できなかった場合、「正しくセーブできませんでした」等の警告を表示している。

 

◇推奨:15.2.1でユーザーがセーブを選択し、同じ名前のファイルを上書きする場合、「既にファイルが存在します。上書きしてもかまいませんか」「はい/いいえ」等の警告を表示し、ユーザーが選択可能なようにしてください。

◇推奨:VM専用ゲームファイルをアプリケーション中で上書きする場合、「VM専用ゲームが入っています。消去すると遊べなくなります。上書きしてもかまいませんか」「はい/いいえ」等の警告を表示し、ユーザーが選択可能なようにしてください。

15.2.2のオートセーブや15.2.3のHI SCORE等をセーブする場合は、表示しなくてもかまいません。

 

15.4.1 オートセーブへ切り替える場合のセーブ実行

◇推奨:ゲーム中のオプションとしてキーコンフィグ等のセーブファイルのオートセーブを切り替える機能を持つ場合、オートセーブへの切替の際には、ファイルの有無を確認し、ファイルが有った場合「現在の設定が上書きされますがかまいませんか?」という警告を出してください。

(プレイステーションのソフトで、メモリーカード無しで立ちあげて、その後メモリーカード挿入、キーコンフィグがメモリーカードの挿入で更新されないまま、オートセーブに切り替えて、元の標準データに更新されそれまでの設定がふいになったケースがあります)

 

15.5 警告メッセージ

電源ON後、メモリーカードが挿してないまたはメモリーカード内にセーブに必要な空き容量が不足している場合、「ライセンスロゴ」の表示直後に、警告を表示し、ゲームの進行が困難であることを明示してください。(図6)

以下、各個の場合についての規定を示します。

□必須:現在挿さっているメモリーカードに空き容量(ブロック)が不足している場合には、不足している空き容量(ブロック数)を明示し、「空きブロックが不足しています。セーブには××ブロックの空きが必要です。このままではゲームを始めてもセーブできません。」等の警告が表示される。

15.2.3でHI SCOREやコンフィグデータをセーブする箇所をポートAの拡張ソケット1等に固定している場合を除き)全てのメモリーカードをチェックし、いずれのメモリーカードにおいても必要な空き容量(ブロック)がないことを確認してください。

 

□必須:メモリーカードが全く挿さっていない場合、不足している空き容量(ブロック数)を明示し、「セーブを行うにはメモリーカードが必要です。メモリーカードには××ブロックの空きが必要です。」等の警告が表示される。

 

□必須:15.2.3でHI SCOREやコンフィグデータをセーブする箇所を、ポートAの拡張ソケット1等に固定している場合、そのポート名と拡張ソケット名を「ポートAの拡張ソケット1にメモリーカードが挿してありません。HI SCOREをセーブするには、ポートAの拡張ソケット1にメモリーカードを挿してください」等の警告メッセージで表示している。

 

□必須:15.2.2のオートセーブの場合(=ゲーム開始後常にメモリーカードが必要な場合)を除き、上記の「空き容量不足」「メモリーカード未挿入」「メモリーカード固定箇所未挿入」のいずれの警告メッセージの表示後も、そのまま(セーブはできなくとも)ゲームが始められる。

 

15.6 メモリー管理画面

◇推奨:アプリケーション内でメモリー管理画面を持っている場合、「全てのファイルを消す」というコマンドがない。

ユーザーがメモリー管理の際に誤って操作することないよう、「全てのファイルを消す」という操作はいれないでください。。

 

15.7 セーブファイルのロード

□必須:セーブファイルのロードの際に、画面になにも表示されないのでなく、「ロード中です」といったメッセージ等が表示されるか、または、なんらかの演出で「ロード中」であることをユーザーに示している。

 

□必須:ロードしたファイルが破損していないかどうかをチェックして、破損していた場合、「正しくロードできませんでした」等警告を表示している。

 

◇推奨:上記正しくロードできないファイルがあった場合も、そのファイルを勝手に消さないでください。(ユーザーからの連絡があった場合のサポート対応の際に壊れたファイルが必要となる場合があります。)

 

参考までに15.2.1(図4)と15.2.2(図5)に対応したロードフローを記載します。

15.8 禁句用語

現在、調整中です。

 

15.9 VM(ビジュアルメモリ)への表示

◇推奨:(15.2.2のオートセーブの場合を除き)セーブ・ロードを実行した直後に、ビジュアルメモリの液晶画面上に「OK」「NG」等実行結果を表示してください。

 

◇推奨:(15.2.2のオートセーブの場合を除き)セーブ・ロードを実行した直後に、液晶画面上だけでなく、「ピピッ」「ブー」など音でもユーザーに認識可能にしてください。

 

◇推奨:上記、音による識別を行っている場合、ビジュアルメモリの音のON/OFFがユーザーに可能なように、オプション内にその項目を用意してください。(夜間等への対応です。TVの音を消してもビジュアルメモリの音は消せないことへの対処です。)

 

◇推奨:(15.2.2のオートセーブの場合を除き)メモリーカード選択後セーブまたはロードが終了するまで、全てのビジュアルメモリの液晶画面に「選択中」等、そのビジュアルメモリにアクセスしていることを表示してください。

 

◇推奨:15.2.2のオートセーブを行うゲームの場合、ゲーム中ずっと、選択したビジュアルメモリに選択中またはセーブ中などの警告を表示してください。

 

ビジュアルメモリには、それを挿入したコントローラの種類とその拡張ソケットによって、ユーザーのほうを向いて差し込まれたり、ユーザーと逆の方向を向いて挿し込まれたりしますが、その表示方向等については、26.ビジュアルメモリ(VM)への表示を参照してください。

 

15.10 セーブ時間が長時間になる場合への対応

今回のDreamcastにおいては、サターンの時と比較して、メモリーカードにアクセスしてのセーブの際にかなり長時間かかります。(200ブロックで16秒くらい)

またセーブ命令を発行後は(セーブ終了前に、かつセーブを実行しながら)通常処理にもどすことが可能となります。

以上から、セーブに要する時間が長時間になる場合、下記推奨に対応してください。

◇推奨:RPG・シミュレーション等で大きなセーブファイルを作成するアプリケーションの場合、セーブコマンド実行後、セーブ終了を待つことなく、通常のメインゲームの処理へと復帰してください。

注意:セーブするRAMが進行に応じて随時変更されるタイプのアプリケーションの場合は、別途メモリーカードへセーブを行うRAM領域を確保し、そこにセーブ内容をコピーした上でセーブを実行、(セーブを実行しながら)通常処理を行っても、セーブ内容が書き変わらないようにしてください。

上記推奨に対応した場合、ユーザーがセーブ終了と混同して電源OFFやソフトリセットなどを行わないよう15.1〜15.9までの作成基準に対応する以外に15.10.1以下の基準に対応してください。

 

15.10.1 通常処理にもどった状態での表示

□必須:(セーブを実行しながら)通常処理にもどった後も、セーブ実行中であることがユーザーにわかるような画面表示(セーブ実行中のプログレスバーを画面下部に表示する等)を行っている。

注意:ソフトリセット、CDドアの開閉等には通常のセーブ中と同じく対処してください。


               
Dreamcastソフトウェア作成基準


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