第4章 各種ウィンドウ・パネルの説明 |
ビジュアルメモリシミュレータを起動すると、まずメインウィンドウが表示されます。作成したアプリケーションプログラムを読み込み、実行するだけであれば、メインウィンドウの機能だけで十分です。しかし、各種のデバッグ機能を利用するためには、いくつかのウィンドウやパネルを表示させて使用します。
メインウィンドウは以下の機能を実現します。
以下にメインウィンドウの個別の機能について解説します。
HEXファイル形式のアプリケーションを読み込みます。アプリケーションが読み込まれるメモリは、フラッシュメモリのバンク0です。フラッシュメモリのバンク0はビジュアルメモリのアプリケーション用メモリとして使用されます。
現在開いているアプリケーションを再度読み込みます。初期状態では、このメニューを選択することはできませんが、アプリケーションを読み込んだ後に使用できるようになります。読み込まれたファイル名はメインウィンドウのタイトルバーに表示されます。
システムBIOS を内部ROM領域に読み込みます。 ビジュアルメモリシミュレータ起動時に自動的に読み込ませる場合は、環境設定ウィンドウで設定することができます。
保存されたRAMファイルを読み込みます。RAMファイルはRAMの内容を保存したものです。RAMファイルにはRAMのバンク0、バンク1、作業用RAM、XRAMが含まれます。
ファイル形式はバイナリです。またメモリマップは以下のようになっています。
仮想CPUに提供されている現在のRAMの内容を保存します。ファイル形式はバイナリです。このファイルは[RAMファイルを開く]コマンドによって読み込むことができます。
フラッシュメモリバンク1にファイルを読み込みます。ファイル形式はバイナリです。フラッシュメモリバンク1のサイズは64Kバイトです。フラッシュメモリへの読み込みは、フラッシュ書き込みシミュレーションの機構を無視して直接メモリ領域へ読み込みます。
フラッシュメモリバンク1は、ビジュアルメモリのファイルを管理するためのシステム領域と、Dreamcastのゲームデータを保存する領域です。ビジュアルメモリ用のアプリケーションは、フラッシュメモリバンク0に読み込まれます。
![]() アプリケーションを起動する前に、このメニューから“GAME.BIN”を読み込ませていない場合、ビジュアルメモリは “初期化されていません”というエラーを表示します。アプリケーションを起動する際は、必ずこのメニューから“GAME.BIN”を読み込ませてください。 |
現在のフラッシュメモリバンク1の内容をファイルに保存します。ファイル形式はバイナリです。このファイルは[FLASH#1を開く]コマンドによって読み込むことができます。
メインウィンドウ下部のテキストボックス(システムコンソール)に表示されている文字列を印刷します。
システムコンソールに表示されている文字列をテキストファイルとして出力します。
アプリケーションの実行を停止させます。ブレークボタンと同じ効果です。
仮想ビジュアルメモリをリセットし、ビジュアルメモリの動作を開始します。
実行を停止した命令の次の命令からプログラムを実行します。
現在のプログラムカウンタより1命令ごとに実行します。
ブレークコントロールウィンドウを表示します。
メモリコントロールウィンドウを表示します。
特殊機能レジスタウィンドウを表示します。
LCDスナップショットウィンドウを表示します。
ネットワークモニタウィンドウを表示します。
トレースパネルを表示します。
16進入力パッドを表示します。
メインウィンドウをビジュアルメモリイメージの大きさにサイズを変更します。
環境設定ウィンドウを表示します。
ヘルプを表示させます。
パネル上部にはツールバーが配置されています。ツールバーのボタンはすべてメニュー、もしくはパネル中のボタンに対応しています。
メインウィンドウで仮想CPUのレジスタの値が表示されます。
レジスタはAcc、B、C、TRH、TRL、SP、PSW、PCです。それぞれの値は16進数で表示されます。
各レジスタは編集可能です。編集したいレジスタをクリックして選択した後、再度クリックすることにより編集可能になります。また、PSW(プログラムステータスワード)については、各ビットの状態が表示されます。
パリティビット以外のPSW各ビットは、マウスでクリックするとそのビットが反転します。変化結果はPSWの値に反映されます。
間接レジスタは、選択されているバンクと現在の間接レジスタの値が表示されます。
レジスタの内容は編集可能です。また、バンクを示しているラベルをクリックすると、間接レジスタのカレントバンクを変更することができます。PSWのB1、B0を変化させると、このバンクラベルも更新されます。
CPUレジスタの表示は、アプリケーション実行中も行うことが可能で、レジスタの変化を見ることができます。ただし、各レジスタ値を更新する時間が必要となりますので、表示状態でアプリケーションを実行するとアプリケーションの動作速度が低下します。レジスタの更新表示を抑止するには[CPU Registers]チェックボックスのチェックをはずしてください。チェック状態でレジスタの内容が表示されます。
実行に関するボタンは4種類です。
[Reset]ボタンをクリックすると、ビジュアルメモリのすべてのデバイスがリセットされます。
CPUのすべてのレジスタは00Hで初期化され、RAMバンクは0、プログラムROMは内部ROMになります。プログラムカウンタには0000Hが代入されCPUが動作を開始します。
[Run]ボタンをクリックすると実行開始アドレスのテキストボックスにあるアドレス(プログラムカウンタ)より実行を開始します。このときデバイスはリセットされません。[Sys]/[Usr]ボタンは実行中のプログラムがROMであるかフラッシュメモリであるかを示しています。[Sys]ボタンはROM、[Usr]はフラッシュメモリを表しています。
アプリケーションが実行中に[Break]ボタンをクリックすると、ビジュアルメモリはコンソールに現在のレジスタ値を表示し、実行を停止します。このとき実行開始アドレスのテキストボックスには、次に実行されるプログラムカウンタの値が代入されます。[Break]直後に[Run]ボタンを押すと継続実行になります。
コンソールに出力されるレジスタダンプの形式は以下の通りです。 A=10 B=01 C=03 TRH=05 TRL=ED SP=45 PSW=01 PC=1:027D RBANK=0:0 R0=00 R1=00 R2=A6 R3=A7 1:027D 02 77 LD 0077H
AからPSWまでは現在の各レジスタの値が表示されます。
PCはプログラムカウンタの値ですが、コロンをはさんでバンクとアドレスを表しています。
バンクが0の場合はROMを、バンクが1の場合はフラッシュメモリを表します。上記の例ではフラッシュメモリのアドレス027DHをPCが示していることになります。バンクを示す数字は0か1です。
次の行は間接レジスタを表しています。RBANKは現在選択されている間接レジスタのバンクを表しています。コロンの左側はRAMのバンクを表しています。値は0か1です。右側は間接レジスタのバンクを表しています。値は0から3です。R0からR3は選択されているバンクの間接レジスタの値です。フラッシュメモリのプログラム実行中にダンプされたときに限り、逆アセンブルされたリストを表示します。
[DisAsm]ボタンをクリックするとコンソールに逆アセンブルリストが表示されます。
テキストボックスは開始アドレスと終了アドレスが用意されています。[Length]チェックボックスは行数による逆アセンブルか、終了アドレス指定により逆アセンブルかを切り換えます。チェックの状態で行数指定の逆アセンブルとなります。このとき終了アドレスのテキストボックスは無視されます。デフォルトでは32行分を表示します。この行数は環境設定ウィンドウで任意の行数に指定することができます。詳しい設定方法については、「4.9 環境設定ウィンドウ」の[動作の設定]−[Disassemble Line]を参照してください。
実行結果は以下のようになります。
ビジュアルメモリイメージは、ビジュアルメモリを模した仮想ターゲットマシンです。
ビジュアルメモリイメージには液晶ディスプレイに相当する表示域、アイコン、8個のボタンが配置されています。
ボタンはマウスとキーボードによって押すことができます。ビジュアルメモリイメージがアクティブになっているときは、このイメージの周りが青くなります。ビジュアルメモリイメージをアクティブにするためには、ビジュアルメモリイメージのボタン以外の場所をクリックします。
ビジュアルメモリボタンに対応しているキーは環境設定ウィンドウで変更することができます。詳しい設定方法については「4.9 環境設定ウィンドウ」の[動作の設定]−[ビジュアルメモリボタンの設定]を参照してください。
ビジュアルメモリイメージの右側にビジュアルメモリの状態を表すランプがあります。
メインウィンドウはビジュアルメモリイメージと、ツールバーの[Reset][Break][Run]、パネルサイズ変更の各ボタンのみの表示にサイズを縮小することができます。また、環境設定ウィンドウで設定することにより、ビジュアルメモリシミュレータ起動時に、メインウィンドウの大きさを縮小状態で起動することができます。詳しい設定方法については、「4.9 環境設定ウィンドウ」の[起動設定]−[Minimum Size]を参照してください。
システムコンソールにはビジュアルメモリシミュレータから、多くの情報が出力されます。コンソールに出力された文字情報は、印刷やファイルに保存することができます。
コンソールはデフォルトで300行分のバッファを持っています。この行数は環境設定ウィンドウで調整することができます。詳しい設定方法については、「4.9 環境設定ウィンドウ」の[動作設定]−[システムコンソールの設定]を参照してください。
コンソールの設定行数を超える文字出力がある場合は先頭行から削除されます。
![]() コンソールのバッファをデフォルトの300行以上にした場合は、ビジュアルメモリシミュレータの動作速度が低下します。 |
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